私がニュージーランドにいることを知っているかのように、やたらと管理会社から連絡が入ってきます。
今度の問題は「物件B」で発生です。テナントの家賃の支払いが遅れているとのこと。
物件Bのテナントは家賃を週払いしていますが、最近、病気で仕事を休んだことで収入が減り、家賃が払えなかったようです。
家賃の滞納はできるだけ素早く解決することが、貸し手と借り手双方にとって利益があります。
管理会社は、Tenancy Tribunalに調停を申し立てして問題解決を図るかどうか私の意思確認をしたいとのこと。
テナントからは、
「(上記のような)事情があって支払いが遅れてしまったが、来週までには遅れている分も合わせて払うので待ってもらいたい」
と管理会社に連絡が入っています。
私の物件がある「サウスオークランド」は、所得水準が高くないエリアです。
このテナントの場合は、家族が多いため生活が大変なことは容易に想像できます。
テナントには家賃をちゃんと払う意思があるようなので、
「今回は約束の日まで待ってあげて、仮にその日に支払いがなければ通常の手続きをしてください。」
とマネージャーに指示しました。
◇大家とテナントのパワーバランス
家賃の回収は管理会社の最も重要な仕事。
家賃が支払わなければ契約や法律に則り淡々と手続きを進めます。
管理会社としては当たり前のことで、大家としてもありがたいのですが、私自身、借り手としの立場が長かったので、テナントの気持ちがよくわかるのが厄介です。
今回の場合はそれほど多額の未払いがあるわけではありません。
また、このテナントの場合、家賃の支払いの遅れは初めてだったので、彼女の言葉を信用することにしました。
それにしてもニュージーランドでは「大家の立場は強い」と改めて感じます。
この強さの裏付けは、契約や法律で守られていることよりも、「賃貸需要の強さ」です。
仮に、このテナントが退去しても、次のテナントはすぐに見つけられます。
一方、テナントからすれば、退去後の賃貸探しは大変ですし、決してばかにならない引越し費用もかかります。
私は、義父が突然亡くなり、帰国するためにオークランド空港へ向かう途中で、賃貸契約解除の電話をもらった経験があります。
「こんな大変な時になんでまた....」
当時の管理会社に、しばらく日本に滞在しなくてはならない事情を説明し、時間的余裕を通常より少し長めにもらえないか交渉をしましたが、全く受け入れてはもらえませんでした。
長く住むつもりで一軒家を借りていたため荷物も多く、引越しは全くの想定外の出来事でした。
テナントの苦しい立場が理解できるからこそ、待ってあげたいという気持ちにどうしてもなってしまうのです。
◇トラブルフリーの物件などない
私は、ニュージーランドで大家を始めてかれこれ「5年」になります。
初めは所得水準の高い人々が住むエリアで知られるノースショアで不動産投資をしていました。
その後、物件を増やす目的でサウスオークランドに不動産を買いましたが、ノースでは全くなかった家賃の滞納は、サウスでは日常的に経験しています。
そのほかにもサウスでは物件管理で様々なトラブルを経験してきました。
おかげで、多少のことでは驚かないメンタルが身につきましたし、トラブルに対処するための知識も増えました。
ただ、トラブルを経験しなくていいものならその方が楽ですし、ノースに物件が持てるならそれに越したことはないでしょう。
別にサウスに物件を買ったことを後悔しているわけではありません。
言いたいことのポイントは「トラブルがない物件などない」ということ。
そして、もし管理のトラブルは絶対避けたいというのならば、そもそも不動産投資はするべきではありません。
不動産投資家ができることといえばトラブルの予防策で、それにはロケーションをよく選ぶことが一番重要です。
ロケーションが良いエリアでは「テナントの質」もよく、大きなトラブルに巻き込まれるリスクを減らせます。
問題は、ロケーションの良さと不動産価格は当然比例していて、一般人の手が届く範囲を超えてしまっていること。
うまくできていますね。この不動産投資というゲームは。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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